「髪の毛はどんな成分からできているの?」と、ふと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
髪の毛は「ケラチン」というタンパク質で構成されていて、そのケラチンもさまざまな要素から成り立っています。したがって、髪の毛を健康に保って薄毛予防をするには、その成分を理解することが欠かせません。
そこで本記事では、髪の毛の成分や、その成分から考える薄毛予防の方法を詳しく解説します。薄毛予防に役立てたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
髪の毛は「ケラチン」という成分で構成される
髪の毛の90%は、「ケラチン」というタンパク質で構成されています。ケラチンは硫黄を含むタンパク質の総称で、不足すると、髪の毛が細くなったりハリやコシを失ったり、生えにくくなったりする原因となります。
また、ケラチンの主成分であるタンパク質を構成しているのは、グルタミン酸やアスパラギン酸といったアミノ酸とイソロイシン、トリプトファンをはじめとした必須アミノ酸です。必須アミノ酸は、動物が生き延びるために必要なアミノ酸のうち、体内で合成されないため食事から摂らなければいけないものの総称です。
ちなみにケラチンは髪の毛だけではなく、爪や皮膚の角質層などの成分としても知られていて、人間にとって必要不可欠なタンパク質です。
髪の毛の主成分から見る薄毛予防
髪の毛の主成分やその働きを理解することは、薄毛予防にも役立ちます。
以下では、「髪の毛の主成分」という観点から薄毛予防の方法について詳しく解説します。
●喫煙や飲酒の量や頻度に気を付ける
髪の毛の主成分のなかには、髪の毛の元となる以外のほかの役割を持つものもあります。
ケラチンを構成するアミノ酸のなかでも最も含有率が高いのが「シスチン」です。シスチンはシステインが2個結合してできたもので、髪の毛が皮膚よりも固いのは、硬い・弾力性があるという特性を持つシスチンの含有量が多いからです。
シスチンには髪の毛を健康に保つコシを与える効果だけではなく、シミやそばかすの原因になるメラニンの生成を抑制することによる、美肌・美白効果も期待できます。
また、有害物質を解毒し老化や病気から身体を守る効果もあるといわれています。日本国内では医薬品として、湿疹、蕁麻疹、薬疹、中毒疹、尋常性瘡などの治療にも使用されているアミノ酸です。
このような役割があるシスチンは、喫煙や飲酒をすることで消費されてしまいます。これらの習慣がある方は、薄毛予防として量や頻度には気を付けるようにしましょう。
●食事から必須アミノ酸を摂る
シスチンは、髪の毛に含まれていてケラチンの構成アミノ酸の1つでもあるメチオニンからも合成されます。
メチオニンは「必須アミノ酸」のひとつであり、食事からしか摂ることができません。シスチンの元となるほか、コレステロールを減らすはたらきや肝機能改善作用、免疫増強作用などもあるとされています。不足すると、利尿機能の低下やむくみが起こったり、動脈硬化や抜け毛の原因になったりするといわれています。
メチオニンを多く含むのは、クロマグロ・鶏むね肉・豚ロース赤身・無調整豆乳などの食材です。髪の合成や成長を促すためにも、メチオニンはこれらの食材から意識して摂取するようにしましょう。
●栄養バランスの整った食事で髪の毛の生成を促す
髪の毛の生成を促す栄養素には、上で紹介したアミノ酸のほか、亜鉛・ビタミンがあります。
亜鉛は、ケラチンの合成に必要な栄養素です。ケラチンが合成されなければ、新しく髪の毛が生えないほか、抜け毛が増えてしまう可能性があります。また、亜鉛には抜け毛の原因となる5αリダクターゼを抑制する働きがあるともいわれているため、必ず摂取するようにしましょう。
亜鉛が多く含まれている食材には、以下のようなものがあります。
- 牡蠣
- 豚レバー
- パルメザンチーズ
- 牛肩ロース
- するめ
- 卵黄
- ピュアココア
- 抹茶
- いりごま
- 焼き海苔
- アーモンド
- 切り干し大根
なかでも、牡蠣は亜鉛がたくさん含まれている食材として知られています。生よりも水煮で食べる方が亜鉛の含有量は多い(食材100gあたり)といわれているので、試してみてください。
ただし、亜鉛は摂取すればするほど薄毛予防になるというわけではありません。1日の摂取目安量(推奨量)が成人男性は11mg、成人女性は8mgと定められているほか、この目安量を超えて過剰摂取することでむかつきや吐き気といった副作用が現れることもあります。
とはいえ、亜鉛は腸管吸収率が約30%前後と低く、意識的に摂取してもなかなか体内に吸収されにくいのが懸念点です。そこでおすすめなのが、亜鉛の吸収を助ける栄養素である「ビタミン」の摂取です。
ビタミンは、亜鉛と一緒に摂ると亜鉛の吸収率を高める働きがあります。ビタミンにもいろいろありますが、なかでもビタミンB2は、髪の毛の生成に必要である栄養素であるほか、薄毛の原因となる皮脂の過剰分泌を抑える効果も期待できます。
ビタミンB2が多く含まれている食材には、以下のようなものがあります。
- レバー
- うなぎ
- 乳製品
- 卵
- 納豆
- 緑黄色野菜
ただし、ビタミンも亜鉛と同様に過剰摂取は身体に良くないので、摂取量には注意が必要です。
このように、栄養素にはそれぞれ働きがあるほか、相性が良いものと同時に摂取することで吸収率を高めたりします。よって、亜鉛・ビタミンいずれかの栄養素を摂るために偏食をするのではなく、各栄養素をバランスよく摂ることが大切です。健康な髪の毛を育てるため、栄養バランスの整った食事も意識してみましょう
髪の毛の成分と成分から見る薄毛・抜け毛対策のまとめ
髪の毛の成分のうち90%は、ケラチンというタンパク質です。さらに詳しく見ると、ケラチンはアミノ酸および必須アミノ酸によって構成されています。
そこで、ケラチンが不足することのないようそれぞれのアミノ酸、とくに体内で合成されない必須アミノ酸については、意識的に摂取することが求められます。また、アミノ酸の一種であるシスチンは、喫煙・飲酒によって消費されてしまうため、量や頻度には注意してください。
また、髪の毛の生成促進には、アミノ酸のほかに、亜鉛・ビタミンといった栄養素も必要となります。それぞれの栄養素をバランスよくとって、髪の毛を健康に保てるようにしていきましょう。